ABIS INDONESIA!
MAYUMIの★だって、インドネシアなんだもの★

No. 2 PEMILIHAN UMUM(総選挙)

■今回のフレーズ 
mencoblos surat suara 投票用紙を突き破る

■関連単語
calon            :立候補者
calon presiden        :大統領候補
surat suara          :投票用紙
Tempat Pemungutan Suara (TPS) :投票場

■一口メモ
pemilihan umun はpemiluと略されることが多い

■MAYUMIのコラム
4月になりましたね。4月といえば、私が住んでいる東京都では8日に知事選が行われます。投票日まで1週間をきったというのに、私の町のポスター掲示板には立候補者4人分のポスターしか貼られていません。立候補者は14人いるんですけどね。

さて、選挙の月にちなんで今回はインドネシアの選挙の話をしたいと思います。インドネシアでは2004年が総選挙の年でした。4月に議会選挙、7月に大統領選挙が行われました。インドネシア史上初の、国民が直接投票できる大統領選ということで、インドネシア内外から注目を集めていました。そして、私もそのひとりでした。誰が選ばれるか、ということよりも、どんな風に選挙運動、投票が行われるかに興味がありました。大統領選挙の投票日は2004年7月5日で、私は同じ年の8月からインドネシアに留学することが決まっていました。どうしても選挙の様子が見たかった私は、大学の授業が始まる1カ月以上の6月末にインドネシアに飛びました。


前大統領のメガワティ候補ペアのポスターがこれでもかと貼ってあります。
ジャカルタの町は選挙用のポスターや横断幕で溢れていました。大統領選挙は正副大統領がペアで立候補するため、二人組のポスターがあちらこちらに貼ってあります。立候補者の顔写真入のTシャツを着ている人もたくさんいました。選挙活動中の車は、まるでこれからデモに行くかのようにトラックの荷台にたくさんの人を乗せています。みな旗を振り回したり、大声を上げたりしてかなり物騒です。サッカーの試合を見に行く熱狂的なサポーターと大して差がありません。

そして投票日当日。月曜日でしたが投票日のため休日でした。私は友達になったばかりの下宿先の女の子に頼んで、投票場につれていってもらいました。ちなみに、インドネシアでは17歳から選挙権があります。投票場はどんなところかと、わくわくしながらついていくと、友達は大通りから細い路地へと入っていきます。


手前が入り口です。左に見える箱のようなものが置いてある机が投票用紙に穴を開ける場所。

下宿や民家が密集しバイク1台通るのがやっとの細い道です。そしてたどり着いたところは、小さな広場でした。天幕が張ってあります。まさか、と思いましたがそこが投票場でした。なんと屋外です。写真のとおり、かなり簡素な作りでした。

そして、面白かったのが投票の仕方。日本の場合は、選んだ候補者の名前を投票用紙に書きます。インドネシアの場合は、投票用紙を突き破ります(mencoblos surat suara)。投票用紙には全候補者の写真と名前が印刷されているので、選んだ正副大統領ペアの写真に釘など先がとがったものを突き刺して穴を開けるのです。ただそれだけです。年配の人などインドネシア語の読み書きが十分でない人でもちゃんと投票できます。素晴らしい方法だと思いませんか。


真ん中のチラシは「突き刺す前に、投票用紙を全部開いてください」と呼びかけています。右の写真が候補者ペアの一覧。左のチラシの下部に正しい突き破り方の絵があります。
ただ、この方法にも問題はあるようで、全部広げないままで突き刺して、複数の候補者ペアに穴を開けてしまったり、写真の枠外に突き刺したりして、無効票になることも多いらしく、入り口には正しい突き破り方が絵入りで説明されてました。

投票用紙を突き破り、投票箱に票を入れた後は最後の一仕事が待っています。小指の先をインクに浸すのです。二重投票を防ぐためらしいですが、かなり原始的なやり方です。投票する前に名簿で名前を確認しているんですけどね。代理で投票したり、別の名前で投票するのを防ぐためでしょうか。このインクはなかなか落ちなくて友達は1週間も爪が黒いままでした。
この7月の大統領選挙では、当選したペアが過半数の票を獲得できず、10月に決選投票が行われました。7月の選挙とはうって変わって町はまったく盛り上がらず、私の住んでいた地域も静かでした。7月のあのお祭り騒ぎは一体なんだったんだろうと首を傾げたくなりました。

>>THIS PAGE TOP    >>ABIS INDONESIA