ABIS INDONESIA!
MAYUMIの★だって、インドネシアなんだもの★


No. 4 KEHIDUPAN DI KOS (下宿生活)

■今回のフレーズ
Boleh pinjam 〜? 〜を借りてもいいですか?

■関連単語
kos:下宿
menimbang<timbang>:(重さなどを)計る

■一口メモ
コスはkostと書く場合もある。口語ではkosanと言うことが多い。
コスで生活する子たちのことをanak kos(コスっ子)という。

■MAYUMIのコラム


 私がジャカルタ近郊の大学に留学していたとき、コス(kos)と呼ばれるところに住んでいました。コスとはいわゆる下宿のことです。日本の大学生が親元から離れて生活する場合、アパートを借りて一人暮らしをするように、インドネシア人の学生はコスに住みます。コスの形態はさまざまですが、たいていは大家や管理人が一緒に住んでいて、掃除をしたり、洗濯したりとコスっ子の面倒を見てくれます。掃除はどこまでやってくれるのか、洗濯は何枚してくれるのか、などはコスによってばらばらです。このお世話の度合いはコスの家賃と比例していますので、高いコスほどいろいろとやってくれます。食事がついているコスもあります。


私が住んでいたコスの外観です
 私が住んでいたコスは、食事なし、洗濯は1日2枚(残りは自分で手洗いする)、自分の部屋の掃除は自分でする、というコスで、家賃は1カ月35万ルピア(約4,200円;2004年当時)でした。ジャカルタ周辺でしたら、コスの家賃は約20万から数百万ルピアとかなり幅があります。私がいたコスは質素な部類に入るかもしれません。 
 私のコスは、多くのコスがそうであるように、小さな寮のようでした。写真のように、玄関がひとつあり、中に入ると各自の部屋が並んでします。2階建てに屋上つきという構造で、26部屋ありました。ひとつの大きな家でみんなで共同生活を送っているような感覚なので、ほとんどの子と顔見知りになり、とくに同じ階に住む子達とはとても仲良くなりました。突然入り込んできた外国人に臆することなく、みんな、あれやこれやとお世話を焼いてくれました。

インドネシアに来た当初の私のインドネシア語があまりにもたどたどしく、ちゃんと生きていけるのだろうかとかなり心配されていたのかもしれません。ジャカルタには日本人の知り合いもおらず、ひとりでやってきて、何もかもひとりでやらなければならなかった身としては、彼女たちの親身なお世話にはとても感謝しました。


   
コスの2階部分です。
   建物の真ん中が吹き抜けになっています。
   茶色いドアがそれぞれの部屋の入り口。
 しかし、お世話やおせっかい好きというのは逆にいえば、相手に求めるものも大きくなりがちです。まさに、持ちつ持たれつの関係が色濃くでるのがコスでの生活です。コスに住み始めてしばらくすると、私もこの関係に巻き込まれていくことになります。

 最もよくあるのが、物の貸し借りでした。私はコスの中では比較的いろいろと物を持っていたため、いろんな子がいろんなものを借りにきました。例えば、電気調理器、包丁、まな板、砂糖、ここらへんは、コスに台所がなく自炊できないため、台所用品を持ってない子がほとんどのためです。私は、最初の頃、たまに料理をしていたので最低限の調理器具を持っていたのです。

 そして、水。飲み水用の水がなくなってしまい、買いにもいけないとき、グラス1杯分だけちょうだい、という子がたまにいました。

そのほかにも、マニキュアと除光液、ほうき、携帯電話の度数(プリペイド式なので度数がなくなると電話やメールを発信できないため、私の携帯電話を借りる)、携帯電話の充電器、CD、漂白剤などなど、数え上げればキリがありません。たまにお金もありました。共同生活をしているので、これくらいの貸し借りは当たり前だろうと言われればそうかもしれません。しかし、日本での一人暮らしが長かった私にはとても新鮮でした。


ただ今、計測中。
もうひとりが目盛りを確認しています。
 そして、一番面白かった物は体重計でした。私は留学してから増え続けている体重が気になって、ある日、体重計を買いました。すると、そのことを聞きつけたコスっ子たちが、私の部屋まで体重を計りにきました。そのなかにはほとんど会話をしたことのない子もいます。彼女たちは「体重計もってるんだって? ちょっと計らせてもらっていい?」と言って、私の部屋に入ってきて、体重を計り、キャー 増えてるよ〜!とみんなで大騒ぎした後、ありがとね、といって部屋を出て行きます。
 体重計ひとつでこれだけ大騒ぎになるとは、予想外の反応にびっくりしました。

その後も、特に私と仲の良かった友達3人は毎日のように体重を計りにやってきます。日課のように“Boleh nimbang?(計らせてもらっていい?)”と部屋の入り口で声をかけ、私が“boleh, silakan(いいよ、どうぞどうぞ)”と答えると、嬉々として部屋に入ってきて、体重を計り、時には私にまで目盛りを読ませ、増えた、減ったと一喜一憂していました。私が勉強などで忙しそうにしているときも、計るだけだから、と入ってきて、ささっと計って出ていくこともありました。私が日本へ帰るとき、大人気だった体重計は、最も頻繁に計りに来た友達にあげることにしました。私の置き土産で、いまでも毎日せっせと計っていることでしょう。

 実際、物を借りることは日常生活でよくあります。旅先でもそうですし、仕事の場面でもそうでしょう。私もバリなど旅行に行った先で、洗濯のためのバケツやハンガー、果物を切るためのナイフ、皿などいろんなものをよく借ります。そのとき使う“Boleh pinjam 〜?(〜を借りてもいいですか)”というフレーズはとても便利ですよ。


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